別の記事で、臨床心理士と公認心理師の違いを解説しました。
これから心理職を目指す方の中には、
どちらの資格を取ればいいのか、よく分からないという方もいるでしょう。
このページでは、どちらの資格を目指せば良いのか、
実際に社会人から一念発起して両方の資格を取得した筆者が、
取りやすさや就職先を考慮して解説していきます。
結論はシンプルで、「どっちも取る」です。
その際のルートや注意点、それ以外の選択肢についても解説していきます。
臨床心理士と公認心理師、目指すなら「どっちも」
どっちがいいのか、というタイトルですが、結論は「どっちも」です。
手堅いのは公認心理師、知名度なら臨床心理士
臨床心理士と公認心理師は、どちらも心の問題を扱う専門家ですが、
現時点で知名度や実績があるのは、30年以上の歴史を重ねてきた、臨床心理士の方です。
(こちらの記事でも解説しています。)
一方で、まだ日が浅いものの、国家資格として、
いわば国のお墨付きがある公認心理師資格も、今後は重視されていくことが予想されます。
特に、国や地方自治体といった公的機関、
診療報酬の観点から優遇される可能性のある医療機関においては、
今後、公認心理師の存在感が増していくことでしょう。
(これについて詳しくはこちら。→作成中)
実際に、最近は自治体でも民間でも、心理職求人の応募資格に、
公認心理師を掲げるところがかなり増えています。
こちらは、とある地方自治体の求人。
もちろん、公認心理師だけでなく、臨床心理士も含まれています。
こういった公務員の求人の要件にもしっかり入っている臨床心理士資格は、
やはり信頼性や実績が評価されていることが分かりますね。
国家資格ができたからと言って、すぐに消えることもありません。
したがって、現状、就職の際の応募条件という点では、
臨床心理士も公認心理師も、ほぼ同等であるといえます。
ただし、現場レベルでは、二つの資格にまだ差があるのが現実・・・。
臨床心理士があるかどうかで、採否が決まることもあります。
詳しくはこちらの記事をごらんください。→作成中
指定の大学院を出れば両方取ることができる
臨床心理士と公認心理師の受験資格は、まったく同じというわけではありませんが、
重なっているところも多いです。
そのため、各大学・大学院では、両方の受験資格を得られるように、
カリキュラムや体制を整備しているところが多いのです。
大学としても、当然その方がコスパがいいですからね。
そういった大学・大学院を出れば、両方を受験できるわけですね。
ルートの詳細は、次の章で説明していきます。→こちら
手軽さを求めるなら、他の心理士資格を目指してもよい
このページをご覧になった方の中には、
「もう少し手軽に取れる心理系の資格はないのかな?」
「本当に仕事にするかは迷っているけど、とりあえず心理の勉強をしてみたい」
と思っている人もいるかもしれません。
そんな方には、もっと短期間で取れる民間資格をご紹介します。→こちら
臨床心理士と公認心理師を、両方取得できるルート
前述したように、特定の大学院を修了すれば、臨床心理士と公認心理師、両方の受験資格を得ることができます。
そのことについて、さらに深掘りしてみましょう。
臨床心理士指定大学院の種別
臨床心理士の受験資格を得られる大学院を、一般に「指定大学院」と呼び、
以下のように、3種類に分かれています。
- 第1種大学院
- 第2種大学院
- 専門職大学院
これらの大学院は、全国に計169校、設置されています(2020年現在)。
(そのうち、一つの大学院で専門職と第1種を併設している所が一校あります。)
そして、臨床心理士指定大学院のほぼすべてが、公認心理師養成校の基準を満たしています(2021年3月現在)。
第1種指定大学院
これが一番メジャーな指定校で、全国に157校あります(2020年現在)。
この大学院は、日本臨床心理士資格認定協会の基準に沿った研究科を設置しているため、
修了と同時に、翌年度の臨床心理士試験の受験資格を得ることができます。
調べたところ、第1種大学院のうち、公認心理師のカリキュラムにも対応している大学院は、
152校でした(2021年3月現在 ※管理人調べ)。
つまり、ほぼすべて、ですね。
これらの大学院に進学することが、臨床心理士と公認心理師、
両方の資格を一番スムーズに取得できる道だと言えます。
第2種指定大学院
第2種大学院というのは、第1種よりも緩やかな基準になっており、
ここを修了しても、すぐに臨床心理士の受験資格を得ることはできません。
修了後に1年以上の臨床経験が必須とされているところが、第1種と大きく違うところです。
(第1種も修了の翌年に資格試験を受けるため、一年は無資格となります。
第2種の場合は、無資格期間が2年になります。)
第2種大学院は、やはり第1種に比べて人が集まりにくいのか、
全国に8校のみとなっています(2020年現在)。
また、このうち公認心理師養成に対応しているのは5校でした(2021年3月現在 ※管理人調べ)。
基本的には第1種が良いと思いますが、
特にこの人の下で学びたいという教授などがいる場合は、
あえて第2種に進学するという選択肢もあります。
また、受験倍率が第1種より低くなりやすいため、
院試に自信がない方も、一考してみても良いかもしれません。
専門職大学院
通常、大学院は研究を行なうこと、つまり研究者を養成することに主眼があります。
一方、「専門職大学院」とは、研究より実践に力点があり、実践家としての専門職を養成することが目的となっている大学院を指します。
(法科大学院や会計専門職大学院も、同じく専門職大学院です。)
臨床心理士の専門職大学院は、全国に5校しかありません(2020年現在)。
第1・2種との違いは、やはり実践を重視していることで、
実習時間が450時間以上と多く、修士論文を書く必要がありません。
また、臨床心理士の資格試験では、論述試験(1次試験の後半)が免除されます。
修論の研究はかなり時間やエネルギーを使いますから、
これをせずに実習に集中できるのは魅力的と感じる方もいるでしょう。
とはいえ、公認心理師養成のための大学院も、実習時間は450時間以上となります。
このため、今後は第1・2種の大学院もこれに合わせてくると予想され、
専門職大学院の独自性は薄れていきそうです。
海外の大学
こちらは番外編になります。
これから心理士を目指そうとする方の多くは、国内での進学を考えていると思いますが、
海外の大学・大学院であっても、一定の要件を満たせば、二つの資格を取得することができます。
日本の資格だからと言って、必ずしも国内の教育機関を出なければいけないわけではありません。
大まかにまとめると、こんな形の要件になっています。
- 日本or海外の大学 + 日本or海外の大学院
- 海外の大学 + 日本での実務経験
- 海外の心理職資格(院修了相当のもの)
詳しくは、こちらをご覧ください。
→公認心理師法第7条第3号に基づく公認心理師試験の受験資格認定の取扱い等について(厚労省)
その他のルート(特例措置の対象者など)
臨床心理士に関しては、医師免許を持ち、2年以上の心理臨床を行なっていれば、
受験資格を得ることができます。
公認心理師については、現在まだ公認心理師法ができて日が浅いため、
主に現任者(これまで心理臨床を行なってきた人たち)の救済を目的として、
「経過措置」というものが定められています。
これから心理学を学ぼうという方にはあまり関係ないかもしれませんが、
以下のいずれかの要件を満たせば、受験資格を得ることができます。
D:法施行日前に大学院で「指定の科目」を履修済or履修中
E:法施行日前に4年制大学で「指定の科目」を履修済or履修中
+法施行日後に大学院で「指定の科目」を履修
F:法施行日前に4年制大学で「指定の科目」を履修済or履修中
+その後「特定の施設」で2年以上の実務経験
G:2022年9月までに心理職として5年間の実務経験
+現任者講習会を修了
※公認心理師法の施行日は、2017年9月15日
臨床心理士や公認心理師ではなく、他の資格を目指す
上に述べてきたように、臨床心理士と公認心理師は、両方取ってしまったほうが、効率は良いです。
ただ、実際には、
そこまで時間やお金をかけられない・・・
心理学の勉強をして、今の仕事に生かしたい
もう少し手軽に取れる資格で、カウンセラーの仕事をしたい
という方も少なくないと思います。
そういうニーズも、あって当然だと思います。
そんな方にオススメの心理系資格を集めてみました。
通信講座で取得できる資格もありますので、外出が制限される状況でも、
自分のペースで目指すことができます。
ぜひ、ご自分にあった資格、ご自分にあったスキルアップを見つけてみてくださいね。
キャリアカウンセラー
作成中
メンタルケア心理士(R)
作成中
メンタルケアカウンセラー
作成中
NLPプラクティショナー
作成中
まとめ
以上のように、臨床心理士と公認心理師は、同時に目指すのが一番効率がよいです。
時間的・経済的な余裕があり、しっかり勉強して資格を取りたいという方は、
簡単ではありませんが、ぜひ大学院への進学を目指してみてください。
しかし、そもそもですが、
資格というのは、あくまでもラベルに過ぎません。
一定のスキルや知識を証明するものではありますが、
その人の臨床における姿勢や熱意や実力を証明するものではありません。
資格にとらわれず、
自分が本当に勉強したいこと、身につけたいこと、
これをやって生きていくんだということ、
ぜひそれを見つけてください。
効率よく資格を取ることなんかより、ずっと重要なことです。
だからこそ、そこまで追求する必要はない、という方には、
最後にご紹介したような、通信講座で取れる資格がオススメです。
あなたにとっては、大学院に行くことは、オーバースペックになってしまうからです。
それぞれの立場、価値観、生き方に合わせて、
進路を見つけていきましょう。
さらに知りたいという方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
- 臨床心理士と公認心理師の違いは?→前記事
- もっと詳しく知りたい(業務内容、年収、適性、やりがいなど)→作成中
- 資格を取る方法を知りたい→作成中
- 心理士のイメージを掴みたい→本を紹介
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