はじめに
仕事で厳しい言葉を浴びせられた日。
あるいは、家庭で思うようにいかず、苛立ちを抑えられなかった夜。
「またやってしまった」
「自分は大人として、何かが欠けているんじゃないか」
そんなふうに、怒りのあとで自分を責めていませんか。
このページにたどり着いたあなたは、おそらく、ただ怒っているだけではないはずです。
むしろ、怒りをどうにかしたい、傷つけたくない、そんな思いを抱えているのではないでしょうか。
今回は、怒りに揺れるこころとの付き合い方について、少し立ち止まって考えてみたいと思います。
怒りの裏にあるもの
怒りという感情は、決して「悪いもの」ではありません。
むしろ、「つらい」「悔しい」「苦しい」といった繊細な感情の“表現”として、怒りが現れることもあります。
たとえば——
- 理不尽に責められて、悔しかった
- 頑張ってきたのに認めてもらえなくて、悲しかった
- 期待に応えられず、自分を責めていた
けれど、そうした感情はあまりにも痛くて、誰かに打ち明けるのも、自分で直視するのも難しい。
そのため、代わりに「怒り」という強い形をとって現れるのです。
「怒ってはいけない」「怒りっぽい自分はだめだ」
そう思っている人ほど、怒りの裏にある本当の感情に目を向けることが、かえって難しくなってしまいます。
過去の体験が、今の怒りの形をつくることも
怒りの反応は、今その場で起きた出来事だけでなく、
それ以前の人生の中で培われた「こころのパターン」によっても形づくられます。
たとえば、
- 子どものころ、怒りを出す大人が怖かった
- 怒りを我慢してばかりで、誰も自分の気持ちをわかってくれなかった
そんな体験があると、「怒り」は“出してはいけないもの”になったり、
あるいは“抑えきれず噴き出すもの”になってしまったりすることがあります。
怒りっぽい自分が「未熟」なのではなく、
怒りという感情にどう付き合っていいか、学ぶ機会がなかっただけかもしれません。
怒りと上手につき合うためにできること
怒りの感情と付き合うために、今日からできることをいくつか紹介します。
① 怒りを“扱う”視点を持つ
怒りは「感じてはいけないもの」ではなく、「扱い方を学ぶもの」と考えてみましょう。
怒りを否定するのではなく、「なぜ自分はこんなに怒ったのか?」と問いかけるだけで、視点は少し変わります。
② “その場”を離れる
怒りが爆発しそうなときは、一度その場を離れるのも立派な対処法です。
物理的に距離をとることで、感情の波をやり過ごしやすくなります。
③ 落ち着いたときに振り返る
怒りが少しおさまったときに、「何がつらかったのか」「どうされたかったのか」
自分の気持ちに丁寧に言葉を与えてみましょう。
おわりに
怒りは、こころが精一杯あなたに何かを伝えようとしているサインかもしれません。
「もっとわかってほしい」
「こんなにがんばっているのに」
そんな声が、怒りの奥にひそんでいるのです。
怒りを抑えきれないとき、自分を責めてしまう気持ちもあるでしょう。
でもその前に、怒りの奥にあるものに、少し耳を澄ませてみませんか。
あなたの感情には、きっと理由があります。
そしてその理由を見つけていくことは、
自分自身と、よりよくつながり直す小さな一歩になります。
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