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『休んだほうがいいのかも』と思い始めたときに

目次

はじめに

仕事が手につかない。ミスが続く。人の言葉に過敏になってしまう。
自分でもわかっている。無理をしている。けれど、休むことに踏み切るのは怖い。

「もう限界かもしれない」と思っても、「まだ頑張れるんじゃないか」と思い直す。
そんな風に、心の中で何度も揺れては、朝を迎える。
「休んだほうがいいのかもしれない」――
その思いがふとよぎる夜は、心の奥からの小さなSOSが聞こえてきた証かもしれません。

この記事では、心が休息を必要としているサインについて触れながら、
休職という選択肢に対して抱く葛藤や不安に、そっと寄り添っていきます。


「休むほどではない」と思い込もうとしていませんか?

誰かと比べて「自分はまだ大丈夫」と言い聞かせたり、
「みんな頑張っているんだから、自分だけが弱音を吐いてはいけない」と思ったり。

でも本当は、ここ最近のあなたは、少しずつ少しずつ、疲れがたまっていたのではないでしょうか。

  • 夜眠れず、朝も起きられない日が増えている
  • 人と会話するのがおっくうに感じる
  • 感情がうまくコントロールできない
  • 自分を責める考えばかりが浮かんでしまう
  • これまで楽しめていたことにも、何も感じられない

こうしたサインは、心と体が「もう頑張りすぎているよ」と教えてくれているサインです。
決して“甘え”ではありません。むしろ、ちゃんと休むことができるのは、自分と向き合う力をもっている証でもあります。


休むことは「逃げ」ではなく、「整える」ための選択

「休んだら、キャリアが止まるのでは」
「まわりに迷惑をかけるのでは」
「いったん休んだら、戻ってこられないのでは」

多くの人が、休職を考えるときにこうした不安を抱えます。
でも実際には、きちんと整え直して復職している人たちは、たくさんいます。

一度止まって立ち止まることは、前に進むための準備です。
自転車だって、ペダルをこぐ前に、バランスを整える必要があります。
人のこころも同じ。疲れきった状態では、視野も狭まり、判断力も鈍ってしまう。
まずは一度、「止まる勇気」をもってみてもいいのかもしれません。


「こんな状態でも、まだ働いている人はたくさんいる」と思ったときに

確かに、もっと忙しそうな人も、辛そうにしている人も、会社にはいるかもしれません。
でも、大切なのは「他人と比べてどうか」ではなく、「自分がどう感じているか」です。

人によって、ストレスの感じ方や、負荷の限界は違います。
同じように見える状況でも、置かれている背景や性格、これまでの経験によって、
心の受け止め方はそれぞれ異なるものです。

誰かと比較することで、「自分はまだいけるはずだ」と思い直すのは、
本当の意味での「がんばり」ではありません。
大切なのは、自分の声を聞いてあげることです。


休むことが「悪いこと」だと感じる背景には何がある?

多くの人が、休職という選択にためらいを覚える理由のひとつに、
「働き続けてこそ価値がある」という無意識の思い込みがあります。

「休む=怠けること」といった価値観が、自分の中に根づいていると、
休息をとることに、罪悪感や自己否定の気持ちが湧いてきます。

けれど、心と体の健康を保ち、持続的に働きつづけるには、
むしろ「自分の限界を見極めて休む」という力こそが大切です。

「壊れるまでがんばる」のではなく、「壊れる前に手当てをする」――
それは、真剣に自分の人生に向き合っている人にしかできない、大切な選択です。


おわりに

ずっと航海を続けていれば、風が吹かない日も、波が荒れる日もあります。
そんなときには、無理をして進み続けるよりも、一度港に戻り、船を整えることが必要です。

このブログのカテゴリは、「こころの停泊所」と名づけました。
それは、人生の航路の途中で、ひととき船をとめて、休息できる場所を意味しています。

今、あなたが少しでも「休んだほうがいいのかもしれない」と感じているなら、
それは、心が静かに「整える時間」を求めているサインかもしれません。

どうか、その声を無視せずに。
すぐに決断できなくても大丈夫。
まずは、「そう感じている自分がいる」と、認めてあげてください。

そして、いつでもこの「停泊所」に立ち寄ってください。
ここには、あなたを責める声も、無理をさせる風もありません。
あるのは、あなたのこころを守るための、静かな時間だけです。

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この記事を書いた人

倍田のアバター 倍田 臨床心理士・公認心理師

精神科病院や大学にて心理士として勤務してきました。
現在は、働く人のメンタルヘルスを支える仕事をしています。

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