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復職前の不安や迷いを感じているときに

目次

はじめに

長く感じた休職期間も、いよいよ終わりが見えてきた。
でも、「本当に戻れるのだろうか」「また同じように働けるのか」と、不安が胸に広がっていく——そんな時期を迎える方は少なくありません。

今回は、復職を目前にしたときに感じやすい不安や迷いにそっと寄り添いながら、「今、自分にできること」「どんな準備が助けになるのか」について、一緒に考えてみたいと思います。


不安になるのは、心が真剣に準備しようとしているから

「不安なのは、まだ回復していないからだ」と思ってしまう方もいます。
ですが実際は、「大丈夫だろうか」と感じるのは、こころが慎重に自分を守ろうとしている証でもあります。

私たちは、船を再び海に出すときに、天気図を確認し、エンジンや帆を点検するように、復職前には「備えるための揺れ」が訪れます。
その揺れは、失敗や不安のサインではなく、慎重に自分を見つめている“準備の時間”ともいえるのです。


復職の不安にある、いくつかの種類

復職前の不安には、いくつかのパターンがあります。

  • 体調が再び悪くならないかという不安
    →「もう倒れたくない」という気持ちが強いほど、無理なく働けるかを気にするのは自然なことです。
  • 職場での人間関係の不安
    →休職をどう思われているのか、また以前のように話せるのか、気がかりになることもあるでしょう。
  • 仕事の量や責任への不安
    →「前と同じ働き方は無理かもしれない」と思うことに、後ろめたさを感じる方もいます。

こうした不安の裏には、「また頑張りたい」という気持ちが潜んでいることも多いのです。


復職の「準備」とは、何を整えることなのか

「体調が整ってから復職する」のは理想的ですが、完全に万全な状態になるのを待ち続けると、復職のタイミングがつかめなくなることもあります。

復職の準備とは、「不安がなくなること」ではなく、「不安とうまく付き合いながら、徐々に慣らしていく準備をすること」です。

たとえば、以下のようなことが役立つことがあります。

  • 朝起きる時間を、勤務時間に合わせて戻していく
  • 通勤と同じ時間帯に、軽い散歩や外出をしてみる
  • 自分の状態を簡単に記録しておき、医師や職場と共有する
  • 復職にあたり「今の自分にできること」「まだ難しいこと」を整理する

大切なのは、完璧を目指すことではなく、「いまの自分の状態に合わせて、できる準備をしておく」ことです。


再発しないためにできる、ひとつの工夫

復職にあたり、「また同じようにがんばりすぎてしまうのではないか」と心配になる方もいるかもしれません。

そんな時に有効なのが、「自分の“波”を意識しておくこと」です。

働くうえで、「疲れやすくなるパターン」や「無理しやすい場面」があるとわかっていれば、その前にペースを落としたり、誰かに相談したりすることができます。

たとえば:

  • 「週末に疲れが出やすい」
  • 「午前中は元気だけど、午後は落ち込む」
  • 「プレッシャーの強い会議のあと、疲れが残る」

こうした「自分の波」を知っておくことは、再発予防の大きな助けになります。


おわりに

復職は、また新しい航海に出るようなものです。
まだ波の高さはわからないけれど、自分のペースで、進路を決めながら進んでいける。

灯台は、暗い夜に船の位置を伝えるためにあります。
このブログもまた、あなたの復職という旅路の中で、静かに灯りをともせる存在でありたいと思っています。

どうか、焦らず、でも希望を持って。
自分の航路を、ゆっくりと描いていってください。

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この記事を書いた人

倍田のアバター 倍田 臨床心理士・公認心理師

精神科病院や大学にて心理士として勤務してきました。
現在は、働く人のメンタルヘルスを支える仕事をしています。

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