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「転職したほうがいいのかな」と思ったときに考えたいこと

目次

はじめに

ある日、ふと「このまま今の仕事を続けていていいのかな」と思った。

上司から理不尽な指摘を受けたとき。
心を込めた仕事が評価されず、スルーされたとき。
満員電車の中で、これから向かう職場のことを考えただけで、ぐったりしてしまった朝。

そんなタイミングで、「転職」の文字が頭に浮かぶことは、誰にでもあります。

この記事では、衝動的に辞める前に、
今の違和感やモヤモヤの正体に少し目を向けてみるヒントをお届けします。

「転職したい」は、出口かサインか?

「もう辞めたい」「環境を変えたい」「限界かもしれない」

こんな気持ちになるのは、それだけ今の状況がつらいというサインです。

でもその「辞めたい」が、
・本当に別の仕事をしたいという“前向きな願い”なのか
・「ここが苦しいから逃げ出したい」という“回避の衝動”なのか
を見極めることは、とても大切です。

一時的な疲れや落ち込みの中では、
視野が狭くなり、「今が最悪」「全部だめだ」と感じてしまいやすいもの。

「今ここを辞めれば楽になれる」
という気持ちは自然なことですが、
それだけで判断してしまうと、後から後悔することもあります。

まずは、「辞めたい」の奥にある感情に、
少しだけ静かに目を向けてみましょう。

「やめたい理由」に“自分の気持ち”はあるか?

よく耳にする転職理由には、
「職場の雰囲気が悪い」「上司と合わない」「残業が多すぎる」など、
環境や人間関係への不満が挙げられます。

もちろん、それらは大切な問題です。
でもそれだけで転職を決めてしまうと、
次の職場でも同じような壁にぶつかることがあります。

なぜなら、職場の問題は、
「自分が何を大事にしたいか」「どんな働き方が心地よいか」といった、
“自分の軸”と深く関わっているからです。

たとえば、
「上司と合わない」という不満の背景には、
「自分の意見を尊重してほしい」「感情的に否定されるのがつらい」といった、
自分なりの“大切にしたい関係性”が隠れているかもしれません。

だからこそ、
「この職場がイヤ」だけではなく、
「自分はどういう人たちと、どんな関わり方で働きたいのか」
という視点を持つことが、とても重要です。

「転職すれば変わる」は本当?

「環境が変われば、すべてが良くなる」
そう思いたくなる気持ちは、とてもよくわかります。

でも、人間関係の悩みや過剰な責任感、自己否定的な思考など、
“自分の中にあるパターン”が原因になっている場合、
場所を変えても、同じような壁に出会うことがあります。

これは、「自分に問題がある」と責めるということではありません。

「どこに行っても同じ」という話ではなく、
「自分の思考や反応のクセに気づいておくと、
次に選ぶ職場で同じ苦しみを繰り返さずに済む」
という意味です。

たとえば、
・完璧主義で、人に頼るのが苦手
・頼まれると断れず、自分を後回しにしてしまう
・評価されないと、自分の存在価値が不安になる

こうした“内なるパターン”に気づくことは、
転職を「単なる逃げ場」ではなく、
「自分らしい働き方を選び直す場」に変えていく第一歩になります。

転職の前に、自分の“軸”を見つめ直す

転職は、自分の人生を大きく動かす選択です。

だからこそ、
「何を嫌だったか」だけでなく、
「自分は何を大切にしたいか」
「どんな働き方なら、自分は納得できるのか」
という“軸”を持っておくことが大切です。

軸があることで、
次の選択に迷ったときも、
「自分にとって大事なものは何か」という視点で考えられるようになります。

その軸は、最初から明確なものである必要はありません。
日々のモヤモヤの中から少しずつ、
「こういう働き方はつらかった」「こういう人とは安心できた」
と、感覚的にでもいいので掘り出していくことで、
自然と輪郭を持ちはじめます。

おわりに

「転職したほうがいいのかな」と思うことは、
あなたの心が「ちょっと立ち止まって」とサインを出している証拠です。

今の環境を変えることは、決して悪いことではありません。
でも、辞める・辞めないを焦って決めるのではなく、
その前に「自分は何に違和感を感じていたのか」
「どんな働き方なら、自分の心は落ち着くのか」を見つめてみてください。

自分の気持ちに正直に向き合うことは、
今後のキャリアだけでなく、
あなた自身の人生全体にとっても、大きな意味を持ちます。

転職は“逃げ”ではなく、“再選択”でもあります。
今のモヤモヤを、あなた自身の羅針盤に変えていくために。

ゆっくり、深呼吸して。
まずは「自分の声」に、静かに耳をすませてみましょう。

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この記事を書いた人

倍田のアバター 倍田 臨床心理士・公認心理師

精神科病院や大学にて心理士として勤務してきました。
現在は、働く人のメンタルヘルスを支える仕事をしています。

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