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休職中の過ごし方に戸惑うときに

目次

はじめに

休職がはじまったとき、「これで少し休める」と思ったのも束の間、数日が経つ頃には「このままでいいのだろうか」「どう過ごせば回復につながるのか」と、不安が頭をもたげてくることがあります。

本来なら「治療」としての休みであるはずなのに、自分を責めたり、何かをしなくてはと焦ったりして、気持ちが落ち着かない——そんな声を多くの方から聞いてきました。

この記事では、休職中の心の揺れを前提にしながら、「どう過ごせばよいか」に対するヒントをお届けします。


休むことの意味を、改めて考えてみる

休職というと、「休み」ではありますが、決してただの“お休み”ではありません。むしろ、長く無理をしてきたこころと身体にとっての「回復の時間」であり、言い換えれば“静かな再起動”のような期間です。

人は、「走る」ことには慣れていても、「立ち止まる」ことには慣れていません。
だからこそ、休職という止まった時間の中で不安が浮かんでくるのは、当然のことでもあります。

まずは、「何かをしなければいけない」という思い込みを、そっと横に置いてみましょう。


休職中に現れやすいこころの動き

休職が始まった直後は、心身の疲れがどっと表に出てくることがあります。なかなか起き上がれなかったり、涙が止まらなかったり、気力が湧かなかったり——。

その状態は、「怠け」ではなく、むしろ「回復が始まっているサイン」です。

回復のプロセスには、波があります。少し楽になったかと思えば、また落ち込む。その繰り返しの中で、ゆっくりとエネルギーが戻ってくるのです。


「休職中、何をすればいいのか?」への答えは一つではない

「休職中に何かしていた方がいいのでは」「これからのために勉強でもしないと」と焦る気持ちが出てくることがあります。

ですが、回復の最初の段階では、「何もしないこと」がいちばんの薬になることもあります。

少し元気が出てきたときに、「散歩」「簡単な料理」「日記をつける」など、生活にリズムを取り戻していくことが役立つこともあります。

大切なのは、「何をするか」ではなく、「どんなペースで、どんな気持ちで過ごすか」です。


自分に問いかけてみる、小さな質問

・今日は、少しだけ気持ちが楽になることがあっただろうか?
・最近、自分にやさしくできた瞬間はあっただろうか?
・今、自分にとって「安全」と感じられる場所や人は、どこだろう?

こうした問いかけは、休職中のこころを見つめ直す小さな羅針盤になります。


おわりに

休職は「後退」ではありません。エネルギーを取り戻すための、必要な「停泊」なのです。

海に出る船が、ときに港で整備を受けるように、人もまた、止まってみることで、次の航海に出る準備をしているのかもしれません。

今は、自分を急かさず、「自分のペースを取り戻す」という視点を大切にしてみてください。

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この記事を書いた人

倍田のアバター 倍田 臨床心理士・公認心理師

精神科病院や大学にて心理士として勤務してきました。
現在は、働く人のメンタルヘルスを支える仕事をしています。

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